秋から冬になる頃の着物コーディネート【塩沢/たたきと蒔糊】@花いち都屋講師 五十嵐桂子

2021年10月25日
こんにちは。いつも花いち都屋のブログをご覧頂き、有難うございます。
今回で7回目の投稿になります。前回は8月23日の配信でした。
北海道の季節の今までの流れでいうと、8月23日と言えば秋風が吹き、虫の音も心地良く、単衣の着物を颯爽と……という感じですが、夏日が続き、9月の催しも、夏大島(緑茶染め)や、夏お召等を着ていた位でした。
コロナ禍の昨今ですから、店内は冷房を効かしていても、換気の意味で窓をあちらもこちらも開けていて、寒い位でした。
少しだけ涼しい日には、塩沢の単衣に、塩沢つながりで塩沢の袋帯を合わせました。
汗ばむ頃のコーディネートといえば、単衣の代表格は塩沢!
ポコポコ、ポコポコのシボが、ベタつかず、爽やかで心地良いんですね。
 

一口に、塩沢と言っても…?

新潟県の代表的な織物である塩沢。
10月16日のユーチューブのライブ配信でも、塩沢の事を取り上げました。
何となく~としか、解っていない、その部分を、今更ながらですが、本で調べてみました。
塩沢は、新潟県の塩沢地方で織られている絹織物。
紬の名前は、産地の名前で言う事が、ほとんどですね。
その塩沢には、3種類あり、本塩沢(お召)夏塩沢(夏用の紬)塩沢紬(紬)です。
模様はいずれも、縞柄無地で表現。
 

本塩沢

経糸、緯糸→生糸のお召糸を使用し、別名「塩沢お召」と言われる。
特徴→麻織物の技術を生かした絹縮・越後縮のようなしぼを持つ。糸の糊を落として絣柄を付けてから織られる。
 

塩沢紬

一方、塩沢紬→経糸→生糸か玉糸
       緯糸→真綿手紡ぎ糸
特徴絣の技術を生かした模様と、さらさらした風合い。
・結城紬のような手触りだが、他の紬より薄手
・細やかな十字絣亀甲絣による大きな模様構成
などが基調のシンプルな色使い
→渋さから男性用着尺としても人気である


本塩澤


本塩澤の袋帯


塩沢紬(ライブ配信の切り抜きの為画質が悪いですがご了承ください)
 
塩沢について解説しました、花いっちゃんねる初のYoutubeLIVE配信アーカイブもぜひご覧ください。
「花いっちゃんねる」初めてのライブ配信!お得なお知らせあり!そして見てるといいことあるかも?!?!~北海道の着物専門店【花いち都屋】
 
さて、10月の中旬ともなると、穏やかな日には、雪虫(アブラ虫の仲間らしい)が、フワフワの白い綿毛も重そうに、フワーリ、フワフワと飛び交います。
それから、不思議と、一週間か10日もすると、初雪が降り出す。
大雪山系はすでに初冠雪しています。
平地にフワーリ、フワフワと舞うのは風花(かざはな:晴れた日に花の様に舞う雪のこと)。
 
何と優雅な呼び名でしょう!!
 

風花の舞う頃は、どんなコーディネートが良いかしら?

 
10月も中旬なのに、札幌も25度近くの日がありました。
私の体感温度は20度が境界線です。20度超えたら単衣にしよう!と
でも、10月も20日過ぎたら、やはり、袷(あわせ)でしょうね。
暑いと感じる時は、薄手でサラリとした大島紬が良いでしょうね。
帯は、季節(秋)を感じる柄の物を合わせてみましょう。
 

網糸織
 

「たたき」と「蒔糊(まきのり)」 

を思わせる柄も良いですね。
 
を思わせる柄というより技法に、たたき蒔糊(まきのり)があります。
これも、何でも、たたきと思っている自分がいました。
先日の催しで、着用していた単衣の小紋たたきと思っていたら、織りに詳しいメーカーの方に、本蒔糊だよ!と言われました。
 
たたき蒔糊何処が違うの?
       何をたたいて、何を蒔いているの?

 
ユーチューブのライブ配信でも、このことを題材にしました。
又、又、本で調べました!
 

たたき→正しくは蠟(ろう)たたき

粒状の模様を表現するのに用いられる技法の一つで、蠟を使って防染する。
温めたを筆や刷毛に含ませ、専用の棒でたたきながら、しぶきのように蠟を落とす。これを何度も繰り返して、蒔糊のような効果を出します。
蒔糊の粒は鋭角的ですが、蠟たたき粒を丸く落とします。
 

蒔糊

乾燥させて小さく砕いた糊の粉を生地に蒔いて、防染して染める技法。
糊は、もち米糊竹の皮に薄く伸ばして張り、寒中に乾かして細かくもみ砕いて作ります。この細かい糊を湿らせた布に蒔き、その上から地染めをします。糊を置いたところが白く抜けて、粉雪のように染め上がります。
 

蠟たたき


蒔糊 

たたき→粒が丸く表地のみ
蒔糊→粒は鋭角的 湿らせた布に蒔く為に裏地にまで浸みている。
 
 
塵除け(ちりよけ)に、羽織やコートを着た上にショールで調節をし、そろそろ時雨履き(しぐればき)の出番ですね。最も着る期間が長い袷(あわせ)の季節にもはいりましたから、ご興味のある方は着方教室で着方をお勉強して、着物を目一杯楽しんでいただきたいと思います。
 
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