2025年9月22日

着物を着るようになると、最初にぶつかるのが「この時期って、何を着たらいいんだろう?」という疑問です。
私も最初は全然わからなくて、着付けの先生や着物歴の長い先輩に「春は何を着ればいいんですか?」「夏って暑いですよね、どんな下着を着ればいいんですか?」と質問ばかりしていました。

そこで登場するのが「キモノカレンダー」。これは、春夏秋冬それぞれの季節に合わせて、着物と下着の種類をまとめた便利な表です。暦に沿って「いつから単衣(ひとえ)にするか」「薄物は何月からか」といった目安がわかるので、初心者にとっては安心材料になります。

まずはその基本の表を見てみましょう。

キモノカレンダー

着物の種類下着
1袷の着物無双袖の襦袢
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6単衣の着物単衣袖の襦袢
7薄物着物絽・麻素材で単衣袖の襦袢
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9単衣の着物単衣袖の襦袢
10袷の着物無双袖の襦袢
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帯や小物は、着物に合わせてコーディネート。柄は「季節をちょっと先取りする」のが昔からの粋なんですよ。たとえば6月に朝顔の柄を取り入れて涼しげに見せたり、10月に紅葉を先取りした帯を締めたり。そんな遊び心が、着物の楽しみのひとつです。

「無双袖」と「単衣袖」ってなに?

初心者さんにとっては、この「無双袖」「単衣袖」という言葉が最初のハードルかもしれません。

  • 無双袖(むそうそで) … 袖の表と裏、両方に布がついている仕立て。裏地があるぶん暖かくて、秋冬に着るのが基本。ふっくらとした袖が上品な印象です。
  • 単衣袖(ひとえそで) … 裏がついていない一枚仕立ての袖。軽くて涼しく、夏や汗をかきやすい時期にぴったり。すっきりした見た目で、動きやすいのもポイント。

「え、裏があるかないかだけでそんなに違うの?」と思うかもしれませんが、実際に着てみると体感温度が全然違います。
冬に単衣袖を着るとスースーして寒いし、夏に無双袖を着ると汗がこもって地獄……。だから季節ごとに仕立てを使い分けるんですね。

四季がなくなりつつある日本


カレンダーを見れば「この時期はこれ!」と一応の答えがわかります。
でも、最近の日本の気候はその「答え」を裏切ることが多いんですよね。

たとえば3月。昔なら「少しずつ暖かくなってきたなぁ」という時期だったのに、ここ数年は20度を超える日も珍しくありません。
4月や5月も、本来は春を楽しめる季節のはずが「初夏?」と思うほど汗ばむ日が増えました。

そして9月。カレンダー的には「秋を感じ始める頃」なのに、実際には真夏のように蒸し暑い日が続くことも。
10月も残暑が長引き、「まだ袷は無理!」という声をよく聞きます。

私も経験があります。10月だからと袷を着たら、電車の中で汗が吹き出して止まらず、目的地についたときには半分ぐったり……。
せっかくの着物でお出かけなのに、気分まで台無しでした。

「四季を楽しむのが着物」と言われても、体感とズレていたら楽しむどころじゃありませんよね。
これが今、多くの人が抱えている悩みなんです。

体感に合わせて、着物も下着も選ぶ時代へ


こうした気候の変化に合わせて、最近は「体感に合わせて着物や下着を選ぶ」人が増えています。

カレンダーでは10月=袷ですが、「まだ暑いから単衣で」と判断する方が多いです。
暦どおりじゃなくても、自分が快適であることを優先する。それが「着物を日常で楽しむ」第一歩だと思います。

ただし、着物だけ単衣に変えても、襦袢が無双袖のままだと暑さは解消されません。
むしろ「着物は涼しいのに、下着が暑くて汗だく」ということになりがちです。
だから下着もセットで工夫する必要があるんです。

特に絹(きぬ)の襦袢。これは肌ざわりも滑らかで、着物との相性も抜群なんですが……やっぱり暑い!
そして汗をかいても気軽に洗えない。初心者さんほど「どう扱えばいいの?」と戸惑う素材です。

このあたりから「じゃあ洗える素材に変えてみようかな?」という意識が広がってきました。

洗濯ができる!洗える襦袢が大人気


ここ数年で一気に注目されているのが「洗える襦袢」。汗をかいても家で洗える安心感は大きいです。

代表的なのは、東レの「爽竹(そうたけ)」。ポリエステルと竹繊維を組み合わせた生地で、通気性もよくサラッとした着心地。
20年以上前から販売されていますが、最近は色や柄の種類がぐっと増えて、おしゃれに楽しめるようになりました。

爽竹長襦袢
リネン襦袢

もうひとつ人気なのが「リネンの襦袢」。麻(あさ)素材と聞くと「硬くてゴワゴワ」というイメージかもしれませんが、今のリネンは柔らかくて軽いんです。
空気を通すから涼しく、汗をかいてもすぐ乾く。さらに洗濯機で洗えるのも便利!

ただし、麻は肌に合わない方もいるので注意は必要。敏感肌さんは試着してから決めると安心ですね。

嬉しいのは、こうした洗える襦袢は「単衣袖仕立てでも1年中着て大丈夫」なこと。
普段は爽竹やリネンで快適に過ごし、フォーマルな場面だけ正絹を着る、という使い分けができるんです。
これなら初心者さんでも無理なく着物生活を続けられますよ。

着方の工夫で涼しく過ごす


素材だけじゃなくて、着方を工夫するのも大切です。

たとえば「長襦袢をやめて半襦袢+ステテコ」という組み合わせ。
これ、内ももがベタつかなくて本当に快適なんです。特に汗をかきやすい方にはおすすめ。

また、和装ブラジャー → 着物スリップ → 長襦袢、というフルコースを省略して、暑い時期は「和装ブラジャー → 長襦袢」だけにしてみるのもアリ。
少し省くだけでも涼しさが全然違います。

「暑いから着物は着られない!」って諦めてしまう人もいますが、ちょっとした工夫で着物ライフは続けられます。
下着は見えない部分だからこそ、自分が快適に過ごせる形を選んで大丈夫。

まとめ


昔ながらのキモノカレンダーは、四季を大切にする日本らしい素敵な文化です。
でも温暖化で気候が変わってきた今は、「暦どおり」より「体感優先」が大事。

  • 着物も下着も、自分が快適に過ごせる方法を選ぶ
  • 洗える襦袢やリネン素材で、汗を気にせず楽しむ
  • 半襦袢やステテコなど、着方を工夫して涼しく

着物は「我慢して着るもの」じゃなく、「工夫して楽しむもの」。
少しの知恵と工夫で、暑い夏も快適に過ごせます。

ぜひ皆さんも、自分に合った下着選びで、温暖化の時代でも楽しい着物ライフを続けてみてくださいね。

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